2011年6月22日(水) ifc.24 ~音心伝心~
久しぶりの閑話更新です。皆さま、お元気でしょうか。
さて、昨日はサントリーホールへ、ダニエル・ハーディング指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団による、マーラー『交響曲第5番嬰ハ短調』を聴きに行きました。
この演奏会は東日本大震災の影響で中止となった定期演奏会の代替公演として行われたもので、本来のプログラムを一部変更して、マーラーの前にエルガーのエニグマ変奏曲より第9変奏が演奏されました。
この演奏は、震災で亡くなられた方への追悼として行われ、演奏後の拍手は事前に辞退、代わりに演奏終了から暫くの間、会場にいる全員が演奏を終えたときのそのままの姿勢で沈黙を保ち、被災地への祈りを捧げました。
この演奏に続くマーラーの5番も、激しくドラマティックなマーラーというよりは、全体として優しくソフトな緊張感に包まれた美しいマーラーで、被災地への祈りは全てのプログラムを通して捧げられていたように思います。
プログラム終了後に客席からロビーへ出ると、そこには自ら募金箱を抱えた指揮者ハーディングの姿が。ハーディングは震災当日も会場にいるお客さまのために、演奏会を中止せずに敢行したそうです。この若くてハンサムでスマートな才能溢れる指揮者の、熱い思いを至る所に感じた今回の演奏会でした。