ifc.16~20 (2011/2/10~2011/3/1)
 
 
2011年3月1日(火) ifc.20 ~桜花爛漫~

さて、3月に入りました。3月と言えば卒業、そして新たな旅立ちへと続く季節です。少し気が早いかもしれませんが、この季節には桜が欠かせません。そこで今日は、久々に閑話らしく桜に因んだ話でもしてみたいと思います。

日本人はみな(おそらくほとんどの方が)お花見好きですが、桜の木の下で花を愛でてお酒を愉しむ習慣は西洋にはなく、欧米人からはこのお花見は奇妙な光景に映るようです。日本人がこれほど桜を愛する理由のひとつは、見事に咲いて見事に散るその潔さが、長年培ってきたその精神文化にピッタリと適合するからでしょう。

桜を題材にした私が好きな歌を二首挙げます。
「明日ありと 思う心の あだ桜 夜半に嵐の 吹かぬものかは」
「散るをいとふ 世にも人にも さきがけて 散るこそ花と 吹く小夜嵐」

上の歌は、親鸞聖人が僅か9歳で得度した際に詠んだと言われる歌です。この際のエピソードは時代が古いこともあり様々に描かれていますが、私個人としては、吉川英治の小説『親鸞』の描写が実にドラマティックで大好きです。下の歌は、三島由紀夫が割腹自殺する前日に書いたという辞世の句です。もはや歌の説明は不要かと思います。

この二つの歌は、片や人生の新たな旅立ちへの決意、片や人生の幕引きへの決意と対照的ではありますが、どちらも人間の並々ならぬ決意、人生の全てを投じる覚悟を、桜の花の本質に重ねて表現しており、その死生観の純粋な美しさ、潔さという点において、私は強く心を打たれます。やはり私も、「願わくば 花の下にて 春死なん その望月の 如月の頃」(西行法師)でしょうか。
 
2011年2月28日(月) ifc.19 ~確定申告~

今日は週の始まり、そして月の終わり。~月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり~といったところでしょうか。

先週末、自分の確定申告を終えました。e-Tax、途中何度かエラーに見舞われましたが、Internet Explorerに切り替えたらその後はスムーズだったので、Google chromeの問題なのかもしれません。e-Taxは、特にe-Taxソフトや他の会計ソフトとの連携の部分で、まだまだ改善の必要があるように思いますが、それでも①事務所(or自宅)で完結、②添付資料の省略、③還付金処理の迅速化といったメリットはやはり大きいですね。普及のためには④5千円の控除もまだ続けてほしいと思います。

初めてのe-Taxは準備に多少時間がかかります。電子認証を取得してICカードリーダ/ライタを購入して開始届を提出して識別番号を取得してetc・・・もっとも電子申告までは行わずに申告書作成コーナーだけを利用して提出は書面であれば、こうした手間もかからず、それだけでも十分に利用のメリットは享受できると思いますが、今後の事を考えればやはり早めに電子申告まで行える体制を整えた方がよいでしょう。

昨年12月1日付< ifc.3 ~電子申請~>でお伝えしたように、国税庁に限らず、総務省も法務省も、日本は国を挙げて電子政府化を推進しています。私たちもこの流れに一緒に乗っていければ、本当にもっと便利な世の中になると思います。
 
2011年2月22日(火) ifc.18 ~不当要求~

本日、行政書士会館にて東京都行政書士会暴力団等排除委員会主催の「不当要求防止責任者選任講習」を受講しました。講師は警視庁組織犯罪対策第三課の方と、(財)暴力団追放運動推進都民センター(暴追都民センター)の指導員の方で、暴力団等による不当な要求に対する心構えや具体的な対応について学びました。

暴力団は全国に8万人以上、都内にその2割を占める1万6千人以上いますが、全体の9割近くが全国に22団体ある指定暴力団の構成員等となります。暴力団対策法では、これら指定暴力団員に対し21項目の禁止行為を定め、これに触れた場合は中止命令、さらにこれに違反した場合は即逮捕という流れとなります。なお、この中止命令の威力は絶大で、昨年1年間に出された中止命令532件に対し違反は1件のみ。平成4年の暴力団対策法施行以来、昨年12月末までの通算でも、出された中止命令6,348件に対し違反は7件のみとのことでした。(この違反も特段悪質なものではなかったとのことです。)中止命令が出れば暴力団も手を出せないのです。

天災は忘れた頃にやってきますが、人災もある日突然やってきます。また、天災も人災もその最初の対応を誤るとその後の影響は計り知れません。不当要求防止責任者は事業所ごとに選任可能で、暴追都民センターと警視庁は共同で、選任者に対し無料で講習を実施しています。

個人事業主の方や、企業においては総務部長等の対応担当の方は、不当要求防止責任者となることで個人や組織を不当な要求からよりよく守ることが可能となるでしょう。私も今後は個人事務所の責任者として、またお客様とその組織を守る相談者として、そして頼れる街の法律家として、不当要求に対し適時適切に対応し、安心社会の実現を図っていきたいと考えます。

 
2011年2月11日(金) ifc.17 ~未就職者~

前回の続きから。今、会計士業界では「未就職者問題」が大きく取り上げられています。公認会計士試験に合格したものの、就職先が決まらない方たちが急増している問題です。

事の発端は、おそらく2003年に正式決定した公認会計士制度改革まで遡ります。この決定により、当時会計士補を含めても2万人に満たなかった会計士を、2018年頃までに5万人に増加させる、いわゆる「公認会計士5万人計画」が政府目標として掲げられました。

こうした中、2006年に金融商品取引法が成立します。そこで、2008年から新たに導入される内部統制(J-sox)監査と四半期レビューへの対応を迫られた大手監査法人は2007年~2008年、一斉に急激な採用増に乗り出しました。まさに合格者の奪い合い、完全な売り手市場でしたが、ある意味この時点では需要(採用)と供給(合格者)の増加は見事にマッチしていました。

しかしこれは一時的な現象でした。J-soxと四半期レビューへの対応が一段落すると、監査法人の需要は激減し法人内でも人が余り始め、また当初期待された一般企業等での合格者の採用も全く増加する様子がありません。その一方で供給(合格者)は「5万人計画」もあって急激に減らすこともできず、2009年以降、合格者の未就職者問題が年々深刻化してきたわけです。

「企業財務会計士」という新たな資格が、こうした問題への対応の一環として創設されたことは明らかですが、なかなか思うように事が運ばないのも、過去数年の業界の歴史を振り返れば明らかです。この問題、まだまだ収まりそうもありません。私も業界の人間として、また未就職者の友人として心を痛めています。
 
2011年2月10日(木) ifc.16 ~資格創設~

昨日は公認会計士協会東京第3ブロックの研修会に出席しました。研修のテーマは「中小事務所のための監査の品質」でしたが、その後の会務報告も含め、特に印象に残ったお話は、やはり最近の会計士業界の2大トピックである「企業財務会計士」と「未就職者問題」についてです。

まず「企業財務会計士」。かつては公認会計士2次試験に合格すると「会計士補」という資格が与えられ、その後所定の実務補習と実務経験を経た後に公認会計士3次試験に合格すると、「公認会計士」になることができました。これが2006年の新試験制度以降、試験が1本化され、会計士補という資格は新たに取得できなくなりました。

かと言って、試験に合格してすぐに公認会計士になれるようになったわけではなく、所定の実務補習と実務経験を経たのちに、実務補習所の修了考査に合格して初めて公認会計士になることができる仕組みで、公認会計士に到る道のりはそれほど短くなったわけではないのですが、試験合格者の呼び方については「会計士補」ではないので「公認会計士協会準会員」とか、Clientも混乱気味のよくわからない状況になっていました。

そこで今回の「企業財務会計士」。未だ公認会計士ではないものの、試験には合格して所定の実務・教育経験を経た者が登録して名乗れる新たな資格です。かつての会計士補との違いは一定の実務要件が課されていることで、そこには単に試験に合格しただけではなく、実務経験があるから一般企業でも即戦力になりますよというアピールが含まれています。

この資格創設の背景には、当然もうひとつのトピックである「未就職者問題」への対応があるわけですが、紙面が尽きましたので続きはまた後日。
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